GALLERY KOGURE

渡辺眸 角川文庫版出版記念 ー東大全共闘1968-1969ー

Hitomi Watanabe Solo Exhibition  
-All‐Campus Joint Struggle League in Tokyo University 1968-1969-
(
Publishing Anniversary of Photoalbum by Kadokawa Bunko)
■2018.4.25 – 4.27 / 5.7 – 5.18
■12:00-18:00
■Closed on Saturday and Sunday

 この度、ギャラリー小暮は、「渡辺眸 角川文庫版出版記念 -東大全共闘1968-1969-」を開催致します。

 学生運動の内部でドキュメンタリー写真を撮った女性写真家の一人、渡辺眸。渡辺が記録した東京大学内部の様子は、2007年に「東大全共闘1968-1969」として新潮社から出版されました。運動がピークを迎えた1968~69年からちょうど50年を迎える2018年の4月25日、このフォトアルバムが、改めて角川文庫から出版される運びとなりました。

 1960年代に世界中の至るところで起きた学生運動。フランス5月革命に始まり、中国の文化大革命、アメリカでは「いちご白書」で有名なコロンビア大学闘争、非暴力学生調整委員会、ウエザーマンやブラックパンサーにいたる学生運動の高揚があり、またイタリアでもボローニャ大学を始めとした闘争、ドイツでもドイツ社学同を指導部隊とした運動が広がった。世界的に共通したスローガンには主にアメリカのベトナム戦争に対する批判があった。

 日本では、まず1960年に国民的大議論となった「日米安全保障条約」への反対運動(安保闘争)で、全学連が運動の中心を担った。1960年代半ばになるとベトナム反戦運動を通して、再び学生運動が盛んになる。1967年から早稲田や慶應義塾大学などを皮切りに、多くの大学で学園紛争が起り始め、ヘルメットにゲバ棒というスタイルが学生運動の定番になっていく。新たに結成された三派全学連や新左翼党派を始め、共産党系の学生達が入り乱れ勢力を競い合ったために、深刻な暴力的対立となったこの運動は、最終的には日本の75%の地域にまで広がり、多くの学生が街頭で数々の武装闘争を繰り広げた。各大学内には学部やセクトを超えた「全共闘(全学共闘会議)」が組織され、各大学でバリケードストライキを含む闘争状態が約1年半以上続いた。中でも、激しい闘争で難攻不落の城と化した日本大学芸術学部と東京大学は、全共闘を象徴する存在となった。

 日本での学生運動のきっかけは、世界的な現象として現れた60年代の「スチューデント・パワー」への呼応であった。敗戦後の日本憲法(天皇制民主主義)と非戦平和という「戦後平和と民主主義」に浸りながら、ひたすら経済成長に邁進してきた戦後日本社会・国家を根底から変革することの難しさ。それを日本国民はあの全共闘運動で体感したのだということを、その記録写真が物語っている。

渡辺眸(わたなべ・ひとみ) 

新宿の街をうろうろと歩き回り、労働者たちや街を歩く人々を趣くまま撮っていたある日、国際反戦デーのデモに遭遇した。機動隊が無数のヘルメット群を散らし、ステューデントパワーが社会と対峙し巨大なうねりとなっていた光景に思わずシャッターを切る。1967年、当時の東大全共闘代表だった山本義隆氏に出会った事で、彼女は東大全共闘の撮影へと導かれた。唯一撮影を許された写真家としてバリケード内に留まり、東大全共闘と寝食を共にし、翌1969年1月の安田講堂攻防戦、神田界隈の大学での集会やデモを含め、同年9月までの闘争の様子を撮影した。それぞれが貴重な記録写真なのだが、幸いなことにジャーナリストとしての視点はない。最も激しかったはずの戦闘現場の中が、むしろ開放地区であるかのようにバリケード空間の日常を克明に写し、事件性を追う報道写真とは決定的に異なっている。一連の作品は2007年に書籍化された。 

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