山本隆博 -Aging painting-
Takahiro Yamamoto -Aging painting-
■2018.2.13 – 2.21
■12:00-19:00
■Closed on Sunday
この度GALLERY KOGUREは、「山本隆博 –Aging painting-」を開催致します。 
 
 山本はこれまで、複製技術やそれをとりまく状況をテーマに制作を行ってきた。『Re:view』シリーズでは、今日におけるオリジナルと複製の識別の難しさを示し、『Where the artificial stops and the real starts』シリーズでは、それに加えて、オリジナリティという言葉の脆弱性を示した。 
 
 山本によれば、複製技術の発達によって、オリジナルと複製という対比は既に成り立たなくなっている。しかし、いまだにオリジナルは複製に対して圧倒的な価値を持っている。「オリジナル」という言葉には「唯一性」、「一回性」という概念が宿っているからである。そして、一般的にこれらの概念は複製には宿り得ないと考えられている。しかし本当にそうだろうか。山本は、複製が「唯一性」や「一回性」を獲得する可能性について考え、「Aging」という発想にたどり着いた。複製は、製造された瞬間には、あるものとそれ以外とは識別が不可能である。しかし、時間の経過にともない、あるものは変色し、またあるものは損傷し、同時に製造されたその他との識別が可能になる。これは、複製が「唯一性」や「一回性」を獲得したと言えるのではないだろうか。現に、山本が過去の作品でモチーフとしてきたものは、独自の経年変化によって個別の味わいを獲得した複製である。
 
 山本は、『Aging』の発想のヒントをクロード=モネの連作から得たという。モネは1890年代に『積み藁』『ポプラ並木』『ルーアン大聖堂』といったシリーズに着手している。これらシリーズは、同じ構図で切り取った同じモチーフを、朝、昼、夜の光の変化によって描きわけた連作である。モネは、光による色調の変化が、同じものを別のものへと変化させてしまうという意識を持っていた。これはのちのアンディ=ウォーホルのカラーバリエーションとも繋がる視点である。ところが、モネのこれらのシリーズの中で、色彩以外にもう一つ変化しているものがある。「時間」である。『ポプラ並木』の連作では、時間の経過とともにポプラの枝葉が変化し、『積み藁』には雪が積もったりしている。またモネが描きわけた光の変化も時間の変化によって引き起こされている現象である。モネが友人にあてた手紙の中に「瞬間性」を切り取ることについての言及があり、わずかな時間の変化が同一のものを別のものへと変えてしまうという意識をもっていたことが伺える。
 

 時間(やそれに伴うあらゆる経験)が「同じもの」を「別のもの」へと変化させる。その発想をもとに、山本は今回『Aging painting』というシリーズを発表する。写真を忠実に再現した絵画に意図的に劣化をほどこす本シリーズには、たとえ複製であっても、「唯一性」や「一回性」を獲得し、オリジナルと並ぶ価値を持ちうるのではないかという山本の問いが込められている。 

Artist Official Page
山本隆博 / Takahiro YAMAMOTO

GALLERY KOGURE