大谷伊都 -忘却の作法-
Ito Ohya solo exhibition -The form of oblivision-
■LOWER AKIHABARA. (closed)
■2017.3.4 – 3.15
■11:00 – 18:30
■Closed on Sunday
 この度、LOWER AKIHABARA.では、漆芸作家 大谷伊都の個展「忘却の作法」を開催いたします。
 
 大谷は東京芸術大学で工芸専攻漆芸を学び、一般的な漆芸に見られる日用器や鑑賞工芸品ではなく、漆の特徴を生かした自然な艶やかをたたえる重厚な立体作品を制作してきました。
 
 工程の多い漆は手間がかかりすぎるのに対して、現代では繊維強化プラスチック(FRP)などで加工された立体作品が多く見られますが、漆は清らかさや温もりといった人の手から伝わる情感の表現に優れ、幾重にも重なる漆は殺菌力や金属をしのぐ耐久性という芯の強さも持っています。
 
 漆の滑らかな肌、艶かしい流線。大谷作品は和歌の調のような柔らさを讃え、まるで伝統という定格から解き放たれたかのように舞う蝶を思わせます。
 

 是非ご高覧ください。 

 

LOWER AKIHABARA.

『忘却の作法』
 
 どんなに印象的な出来事も時とともにリアリティは薄らいでいき、その時に抱いた感情は、スープの中に溶け残るジャガイモのような中途半端さで記憶の鍋を漂う。
 
 そして次第に脚色を加えられ変質しながらも鈍化し、最終的には融解して無にかえる。
 
 これが私たちの内部で展開される忘却へのプロセスだ。
 
 私の作品は、半ば溶け半ば形の印象を保つ記憶、現在進行形でリアリティを失いつつある記憶の姿である。生と死、意識と無意識との境を行き来する蝶々は、言葉の通じない意思疎通の不可能な存在だ。離れがたく溶け残った出来事の断片に群がるが、それは今の自分とはすでに切り離されたかつての自分の意思でもある。
 
 融解し忘却へと向かっていく記憶を、鍋から引き上げて眺めてみる。私の制作はそんな行為だ。
 
 すでに原形も色彩も失っているが、その時の感情や事象への執着は蝶の姿で蠢き続けている。 
 
 
2017年
大谷伊都 / Ito OHYA 
埼玉県在住 
 
2013 東京藝術大学美術学部工芸科卒業 
 
2015 東京藝術大学美術研究科工芸専攻漆芸修了
 
■グループ展
2015 第63回東京藝術大学 卒業・修了制作展(東京藝術大学美術館) 
2013 漆芸の未来を拓く 生新の時2013(石川県輪島漆芸美術館) 
   第61回東京藝術大学 卒業・修了制作展(東京藝術大学美術館)
2011 第6回藝大アートプラザ大賞展(東京藝術大学アートプラザ) 
 
■アートフェア
2015 BAZAAR art JAKARTA 2015 (ジャカルタ)
   Affordable Art Fair Hong Kong 2015 (香港)
 
■受賞
2013 漆工奨学賞
2011 藝大アートプラザ大賞