吉田泰一郎 -唸り-
Taiichiro Yoshida -The Moan-
■2018.2.3 – 2.10
■12:00 – 19:00
■No holiday
 この度、GALLERY小暮は、「吉田泰一郎 -唸り-」を開催致します。
 
 吉田泰一郎は日本の伝統技法の「彫金」を駆使し、極限まで繊細に形成された金属のパーツを組み合わせて躍動的な立体作品を作ります。金属の色彩を巧みに操り、繊細で写実的な植物のパーツを無数に集合させることによってモチーフを形作ります。無数の植物の命が、一つの命となり、生と死によって命が繋がっていく「輪廻」というコンセプトを、シリアスに麗しく表現する作家です。
 
 金属を加工する表現方法は世界中に数多くありますが、日本固有の精妙な彫金技法を学んだ吉田は、職人の分業制で培われてきた工芸分野の彫金の枠を超え、全て自ら一人の手作業を貫くことで、アートとしての可能性を模索しています。特に金属の化学反応や炎による熱加工を巧みに操るデリケートな色彩表現は、果てしない可能性を感じさせます。
 
 デビュー以来、動物をモチーフに国際的な発表を重ねてきましたが、本展は初個展であり、動物表現のひとつの集大成として、これまでで最大の作品を発表します。 

GALLERY KOGURE
 私の現在の作品制作は、江戸時代の刀工達からつづく彫金を背景に、鏨(たがね)で金属を加飾して作り上げる具象の立体物、レリーフが主体となっている。
 
 自然に生成された未加工の金属は、素材としての魅力を十分に発揮できていない。金属は人の手で精製、加工によって本来の魅力が生み出される。そのため金属は作り手によって表情を変え、そこに私は生命を生み出すような興奮を覚える。私が彫金による表現を用いるのは、その金属の魅力を最大限に引き出すことのできる日本独自の技術だからである。それはただ金属を装飾するにとどまらず、命を刻み出すように感じられる。
 
 金属は近代以前まで、宗教、人々の生活、時代の流れを色濃く象徴してきた素材で、権力の象徴や、誓約の為の道具でもあった。これは金属に思想、精神、意識、威圧感のイメージを与えやすい要因となっている。私の心象から生み出す作品群は生物のイメージが多く、生命の存在に対して主張的な印象を持っているため、金属は自分の心象形態をうまく表現させやすい。
 
 今回の個展は、過去5年程制作し続けている植物で構成された動物作品の集大成の展示である。私たちは視覚から形を認識し、あらゆる情報を空想する。花びらや葉の形の法則に性選択、自然選択で説明できない奇怪な違和感があり、まるで第三者にデザインされたかのような意思を感じている。この言葉にできない違和感こそが現世に降り立つ生命の実態感に通ずるように思われる。この知覚を意識し、花や葉を形作り、密集させ再構築し新たな形を生み出すと、まるで細胞の密集したような渾然とした立体物が出来上がる。それは命の形を空想させ、万物の形態の起源、アニミズム、意識の在り処を思考させる。

吉田泰一郎

Artist Official Page
吉田泰一郎 / Taiichiro YOSHIDA