大西泰弘 -エコー或いは幽霊-
Yasuhiro Onishi solo exhibition -echos or ghosts-
■LOWER AKIHABARA. (closed)
■2017.9.30 – 10.7
■11:00 – 18:30
■Closed on Sunday

首筋とシャツ
2017
27.3×22.0cm

 この度LOWER AKIHABARA.では、「大西泰弘-エコー或いは幽霊-」展を開催致します。大西は1986年に生まれ、2010年にUniversity of the Arts Londonを卒業後、東京を拠点に制作をしています。
 
 大西といえば、これまで数ヵ国で発表してきた「肖像画シリーズ」がまず挙げられます。ミニマムなフレームの中に、奇妙にデフォルメされた不思議な肖像画を連続的に無数に描いているもので、黒を基調とした背景に浮かび上がる奇怪な肖像は、どことなく欧風古典風な趣の中にあって、一見シリアスな雰囲気を湛えながら、それぞれにユーモラスなパーソナリティーを持っています。全ての作品にモデルや参考資料などの情報はなく、全て大西が社会とは隔絶したアトリエに於いて、一人黙々と制作に打ち込む中で生まれてきたもので、小さなウインドウに込められた作家だけのリアリティーに基づいており、人なのかどうかもよくわからないその肖像には誰一人完全な者はいません。何かが欠落している者、ゆがんでいる者、一様に肩に力がなくどことなく臆病に見えるのに、不思議と愛着を覚えてしまう不思議な美しさと魅力を醸し出しています。それらはおそらく、我々が幼少期、まだ現実の世界にいなかった頃の原風景に存在していた何かのような存在で、一枚一枚小さく丁寧に描かれたその不可思議な肖像が連続的に並んでいることで、鑑賞者人は必ず自分探しをしてしまいます。それらを不気味と思うか滑稽だと思うかは鑑賞者次第ですが、国境を越えて、このミニマムな絵画に鑑賞者を引き込む力が宿っていることは間違いありません。
 
 一方、大西が学生時代から取り組んできた「断片-Scrapsシリーズ」があります。これは風景を眺めるように大西が新聞紙を観て、断片的な印象として残った画像を印象にまかせて描き起こすものです。モデルがない肖像画シリーズとは対極に、元となる画像情報はありながら、肖像画シリーズと同様、自身の思い込みや個人的な感覚を反映させて実際にはないものに仕上がっています。この個人の感覚的な思い込みのようなものを大西は「エコー(反響)や幽霊」と呼んでいますが、様々な情報を印象として受け取れば誰しもに生じる日々の幻影であり、そのイメージは形のない幽霊のようなものではないでしょうか。
 
 「肖像画シリーズ」そして「断片-Scrapsシリーズ」、大西の心理描写の世界を是非ご高覧ください。
 
 是非ご高覧ください。 
 
 
 
LOWER AKIHABARA.